勃然と焦燥
命は、一人に1つのはずだろう?
障子でぼんやりとした光で目を覚まし、たまに干すぐらいの布団と畳の匂いに気づき、深呼吸をする。
そんな朝のひと時は、もう何年も…
いや、一度もないかもしれない。
僕の命は、
学校に行かされ、塾に行かされ、大学に行かされ、
されるばかりの命かい?
たった1つなのに。
就活を拒み、誰がいったか底辺とよく言われるバイトをして、小銭を稼ぐ。
日本から逃げたい、その命は、
いつ途絶えるかも、分からない。
不安定で、ペットボトルから垂れる最後の一滴をコントロールするように、
僕の命に、収まりどころはあるのだろうか。
たった1つの、この命。
チクショウ、チクショウ、この命。
されるがままの、この命。
海辺に行けば、猫にそうするように、漁師は魚をくれるのだろうか。
街角でダンボールに入っていれば、猫にそうするように、命の救世主は現れるのだろうか。
誰も僕をしらず、
僕もそれを望まなかったはずなのに、
たった1つの僕の命は、
しきりに、
忘れた頃に、
焦燥している。