悪魔の行く末
僕は天使を一度も、
見たことも、感じたこともない。
天使の反対側、裏側、はたまた根を通して繋がっているのは、あくまで対義語的な位置として、悪魔であろうと思う。
神はどうやら独裁者、唯一の存在らしい。が、これもまた反対に悪魔がいると言うこともできるようです。
でも僕は、
悪魔を知っています。
見たことも、感じたこともあります。
悪魔は、知っています。
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悪魔が訪れた。
それは朝のように、寝ていれば来るものだ。だれも逃れることは出来ず、だれもが心に思い出せば哭きたくなるほどの傷を、心に刻まれる。
あぁ、逃げ出したい。龍ならば雲に登ってしまうのだろう。逃げることができなければ、消えてしまおう。いや、何も自分が消えることはない。ヤツを、悪魔を!ブチ消しちまおう!
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悪魔は天使のような笑顔をしている。
それは、普通に生きるだけで息の詰まるこの世に誰に頼まれたわけでもなく産まれてくる赤ん坊のような笑顔だ。
その笑顔だけを一生みせておくれ。その笑顔だけが、僕の世界の規律なんだ。秩序なんだ。価値なんだ。
そう安穏と日々に流れて過ごすしていると、悪魔の天使のような笑顔は、悪魔の悪魔による悪魔のための笑顔と化しているのだ。
暗澹とした心そのものが、目やら鼻やら耳やら口やらの、あらゆる穴から、もあんもあんと、流れ出す。
まだ間に合う!目を!鼻を!耳を!口を塞げ!!
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悪魔が呼んでいる。いや、読んでいる。
僕の心を、読んでいる。
目に一丁字もない悪魔なんかに、
僕の心が、俺の気持ちが、
動かされるものか!動かせるわけがない!
私の魂は、全てを突きかえす!
ぐだぐだ述べるでない!
全てだ!十把一からげにして全てを突きかえす!
悪魔なぞ、敵ではない!
かかれ!
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悪魔は孤独だ。
日本では一般的に、アガサクリスティーよりもアガサ博士が有名だろう。
Then there were none.
というアガサクリスティーの言葉がある。そして、誰もいなくなった。というのである。
悪魔はきっと、最後の最後まで生きるであろう。
独り、孤独と戦いながら、我思うゆえに我ありと、自分の存在すら疑って、僕たちは生きている。
孤独と孤独を擦り合わせても、ただ磨り減って、いつの日か無くなってしまうのだ。
いやそれとも、
擦り合わせていくうちに、1つになるのか。
いや、
どちらかが片方に飲み込まれるのか。
まてまて、
無数の孤独が擦りあわされたどうなってしまう。
はは、そんな不安は必要ないさ。
そんな安いもんじゃあないぜえ。
孤独は、独りで美味しく頂くとしよう。
さぁ、悪魔くん。
ところで君は、本当に悪魔なのかい?
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モンスターは自分の中にいるのさ。
と言った先輩との出会いは、たしか三軒茶屋の狭いライヴの出来るバーで、秋に入る頃であっただろうか。
そりゃあ、いるだろうよ。と、その話を聞いたのは渋谷の大きなクラブだった。
倒すのが良いかい?飼いならすのが良いかい?
それとも、乗っ取られちまうかい?
どうやら先輩の話によると、東京がイヤだ・仕事が疲れるなどの原因は自分の中にあって、その事をモンスターと言っているらしい。それに負けるなということのようである。
いや、しかし。だが、しかし。
たしかに、目的を達成する前の素っ頓狂な挫折によって、抱いた夢を放り出すというのは聴こえが悪いかもしれない。
だが、その素っ頓狂な挫折によって、他の道が少しでも開かれているのなら、そっちに進むのも悪くないのではないだろうかと思う。
抱いた夢を1つの思い出として、また新たに夢を持ってもいいだろう。
東京がなんかイヤだから、この仕事がなんかイヤだから、あいつがなんかイヤだから。
違う場所に行ったって、ニートになってみたって、連絡をとらない事にしたって、何が悪い?
哲学の世界で言えば、ニーチェが運命愛といっている。運命を愛して受け入れろ、ということだ。
俺の運命はイヤな事を乗り越えた先にあるのか?
なんと怪しい事だろう。ネズミ講か?カルト教か?
僕たちの幸せや夢は、先輩がいったモンスターに負けては掴めず、ニーチェが言ったように、こんな腐った僕の運命を愛さなけば振り向きもしないのかい?
言葉を覚えたペットショップの鳥が話しているように話す薬物中毒者にも、モンスターや運命などというものがあるのかい?
なら彼は、モンスターを倒し、運命を愛しているかい?
僕と彼には、運命の繋がりなど鐚一文もないのさ。
モンスターも運命も、俺には必要ないんです。
あぁ、神よ。
この世の全てのモンスターと運命を、どうぞ彼へ差し上げたらどうでしょう?
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